Nikita LucianoをCSM20へ - 製造と交易の改善を目指し、人々の声を届けます

原文 Nikita Luciano for CSM 20 - Industry, Trade, People

EVE Onlineにおける私の経歴

私がEVEを始めたのは10年近く前のことです。ニューエデンでの最初の7年間は、EVEでは何をどんな風にやればいいのか理解しようと、奇妙な実験や試行錯誤を繰り返すことに費やしました。例えばヘク星系にアズベルを建てたこともあれば、戦闘機を1部隊だけ積んだ艦載機母艦でローセキュリティ宙域を飛びまわってみたこともあります。ただ、ゲームプレイの大半はソロで楽しめるコンテンツ、特に交易に従事していました。私は商業地やリージョンのあいだでの取引を得意とするようになり、これがきっかけで本格的にEVEにのめり込んでいきました。この経験は私に大きな影響を与え、最終的には現実世界でも同じような仕事を選んだほどです。

プレイ歴が7年目を迎えた頃、私はもっと多くのプレイヤーと交流したい、もっとリスクを冒したい、もっとPvPをやりたい、もっとヒリヒリする体験をしてみたいと感じている自分に気づきました。EVEのそうした部分に気づけたのはEVE Universityのおかげです。1年ほどEVE-Uniで学んだあと、Goonswarm Federationに参加しました。そこでは私が求めていた体験がすべて手に入りました。そして同時に、ヌルセク巨大勢力の内側で行われている大規模な商業・産業活動にも、深く没頭していくことになりました。


私の専門分野

私の主な専門分野は次のとおりです。

  • ハイセキュリティ宙域、特にリージョン間での取引。ローセキュリティ/ヌルセキュリティ宙域の商業地間の取引。

  • 製造活動の全工程

  • 市場リスクの分析

  • 製造活動の最適化

  • ソロまたは小規模グループでの経済活動

  • 自分の性格や才能に合ったゲームプレイを探しているカプセラのためのキャリア探求支援

Goonswarm Federationに参加してから今日までの2年間、私はほとんどのSIG(※)に参加し、多種多様な活動を経験してきました。その結果、EVEで居場所を見つけようとするプレイヤーが何を求めているのかを広く理解することができました。

(※)SIG…Special Interest Group。活動単位(主力艦パイロット、輸送屋、偵察員など)で設けられた部門、グループのこと。


なぜCSM20に立候補したのか

私はコミュニティの代弁者になりたいのです。人々の声に耳を傾け、自分の経験を共有し、他のプレイヤーと協力する評議員です。そのような活動を通して、皆さんのEVEに対するモチベーションを高く保ち、ゲームの楽しさを維持していきたいと考えています。

私自身にも多くのアイデアがありますが、独裁者になる予定はありません。私は良いアイデアはコミュニティとの協業から生み出されると信じていますから、自他の考えを等しく取り上げ、それらを明確かつ分析的にまとめるつもりです。そうすれば皆さんは確かな根拠にもとづいた判断を下せるでしょうし、CCPも特定の視野が欠けていない包括的なフィードバックを得ることができます。

上記を前提としたうえで、私が特に力を注ぎたい分野は次のとおりです。


ゲームプレイとバランス調整に関するアイデア

  1. 艦船性能のバランス調整 - より深く、より革新的な変更

現在のバランス調整は保守的すぎることが多いです。艦船の性能値を多少変えたところで、ゲーム内の主流戦術も多少変化するだけで根っこの問題は解決しません。一部の船はキャパシタが安定していない、スロットの割り当てに不備がある、そもそも戦場における役割が小さいといった根本的な設計に問題があるので、性能が強化されても誰も使わない状況が続いています。

率直に言いましょう。クラス全体が見向きもされていない船がある状況では、艦種がどれほど多くても無意味ではありませんか?

  1. ほとんど使われていないモジュールとリグ

EVEには実質的に使われていないモジュールやリグがたくさんあります。例えばキャピタルサルベージタックルIIは、zkillboardのデータによると、装備した状態で撃沈された船はわずか4隻、輸送中に撃沈された船はたった1隻です。同タイプのリグは準主力艦用であっても、それほど重宝されているとは言えません。このようなリグやモジュールは性能を調整するか、設計を見直すか、あるいは実用的なものへの置き換えが必要でしょう。

  1. リモートリペアと特殊な装備

艦船に残された最後のHP、すなわち船体をリモートリペアまたは自己リペアすることは理論上可能です。とはいえ、船体リペアのまともなボーナスを備えている船はなく、活用される余地のあるメカニズムが無駄になってしまっている状況です。船体リペアをバランス調整の俎上に載せ、より多様なフリートが登場する道筋を開きましょう。

  1. FAXと艦載機母艦 - 役割の明確化と再設計

軍事力補強艦(FAX)は役割を見事に果たしていますが、機動力の低さとコストの高さに足を引っ張られ、限られたフリートでしか姿を見ることがありません。一つの改善案として、FAXを主力艦のリペアに特化させ、準主力艦をリペアする戦闘機を登場させることで、リモートリペアを主任務とする艦載機母艦の出番を増やすことはできないでしょうか。

艦載機母艦は人気を失って久しいですが、その原因は価格やリスクだけでなく、実状に合わない設計も問題です。この船はドレッドノートより使いづらく、実戦におけるメリットでも負けています。艦船ボーナスは小規模・中規模の艦隊戦と相性が良くなく、PvEではCONCORDローグ解析ビーコンの登場や、その他の変更によってほとんど引退状態に追い込まれました。今こそ主力艦の役割を再検討し、艦載機母艦を高価なコレクションアイテムではなく実用的な兵器へと作り変えるべきです。

  1. 戦闘機システムを準主力艦に導入

戦闘機の運用は細かな操作が求められ、管理能力や精密度が威力を左右する非常に魅力的なシステムになっています。個人的には大好きなゲームプレイです。しかし、こうしたプレイを楽しめるのは、現状では艦載機母艦と大型艦載機母艦のみです。戦闘機システムは非常に大きな可能性を秘めているので、準主力艦のゲームプレイに適応した形で導入できないか検討すべきでしょう。

  1. 専門的な役割 - ステルス爆撃フリゲート、電子戦闘艦など

一部のモジュールの使い道は非常に限定されてしまっています。例えば、ボムはステルス爆撃フリゲート専用ですが、ボムのコンセプト自体は新たな艦種やモジュールに応用できるはずです。こうした特殊なメカニズムをもっと広く用いることができないか検討する余地があると思います。もしこれが実現すれば、フリートはもっと多様な戦い方ができるようになり、編成の自由度も向上するはずです。


製造活動について

EVEの製造活動については議論の種が尽きませんが、これらは特に真剣に注目すべき核心的な問題だと考えます。

  • 不適切なスキルレベル設定
    多くのT1・T2ブループリントは使用時にほぼ同じスキルレベルを必要とします。新規プレイヤーのできることが少しずつ増えていくような階段式になっていないため、製造スキルを伸ばそうとする意思を削ぎ、製造活動における選択肢を狭めてしまいます。

  • 機能不全に陥っているBPO経済
    研究済みブループリントオリジナル(BPO)の多くは、もはや投資しても経済的に見合わなくなっています。例えば、大型主力艦部品の研究済みBPOに500億ISK投資するくらいなら、T2アイテムのブループリントコピーを4000万ISKで購入したほうが色んな意味で安上がりです。過去のEVEから受け継いだ負の遺産のせいで、ブループリント市場はバランスが崩れた状態になってしまっているのです。

  • 惑星インダストリーにおける需要不均衡
    惑星インダストリーでは、製造プロセスの初期段階で必要とされるアイテムに高い需要がある一方で、十分な用途が確立されておらず中間段階でのみ必要とされるアイテムもあります。惑星インダストリーにおける消費量や使用方法を調整することで、コロニーの設定がより多様になり、これまで価値が乏しかったアイテムの有用性も向上するでしょう。

  • 準主力艦の建造
    ゲーム内の主流戦術は変わるときは急激に変わるので、プレイヤーは迅速な対応を求められます。私は準主力艦は主力艦のように色々な部品から建造されるべきだと考えます。そうなれば、船は状況の変化に応じて素早く組み立てられるようになり、製造キューが空くまで7日間も行列に並ぶ経験とはおさらばです。造船業者はパッチや市場の変化にスピーディに対応し、より実状に沿った計画を立てることが可能になります。


ミッション・PvEについて

ミッションはレベルが高くなるほど単調になるという欠点があります。最初は未知への挑戦だったのに、最後は面白みのないルーチンワークになってしまうのです。そこで私は次のように提案します。

  • 賞金稼ぎミッション
    zkillboardやゲーム内の装備履歴を活用すれば、実際のプレイヤーの装備にもとづいたNPCが登場するミッションを作成できるはずです。NPCには高度なAIを使用してPvPをシミュレートし、ミッションレベルが上がるほど手強くなるようにしましょう。このミッションはかつてのアビサルデッドスペースのように歯ごたえがあり、毎回同じ内容ではなく、多かれ少なかれ他のプレイヤーからの影響がある面白いものになるでしょう。

  • 放浪するドリフターステーション
    友人たちと話し合った、いささか奇抜なアイデアが「放浪するドリフターステーション」です。このステーションは数日ごとに新しい星系へジャンプするので、プレイヤーはそれを追って普段活動していない宙域に赴き、無事たどり着けば他にはないミッションやコンテンツを楽しめるという仕組みです。一か所に定住しない遊動的なゲームプレイを促進するとともに、ニューエデン各地で自然な形で小規模PvPを誘発させることができるでしょう。


歴史、バックストーリー、そして過去からの遺産について

EVEは壮大な戦争、プレイヤーが紡いだ物語、そしてコミュニティで生まれた感動的な瞬間の上に築かれています。しかし、それらの記憶の多くは時とともに失われてしまいます。そこで私は次のように提案します。

  • メダルを通じた記憶の継承
    メダルの作成コストを下げるか、エバーマーク(※)で作成できるようにすることで、コーポレーションは財政を気にせずプレイヤーにメダルを授与できるようになります。欲を言えば、キャラクターの3Dモデルがメダルを名誉の印として実際に着用できれば最高ですね。

(※)原文ではEVE Marksとあるが、EverMarksの誤記だと思われる。

  • ストーリー主導型のミッション
    EVEには素晴らしいバックストーリーがありますが、歴史的な場所や過去の戦跡を巡るための案内が不足しています。プレイヤーが一連のミッションに導かれて、昔日の戦争が残した痕跡をたどり、いかにしてEVEが形作られたかを学ぶことができれば素晴らしいとは思いませんか? 新規プレイヤーはしばしばEVEの歴史を知りたがりますが、現状ではRedditの古いスレッドやYouTubeの動画から読み解くしかありません。過去を蘇らせるなら、それが実際に起きたゲーム内よりふさわしい場所はないでしょう。

ビジュアルスタイルとプレイヤーの自己表現について

  • EVEには何百ものコーポレーションやメダルがあり、個性豊かな組織が揃っています。ところが、ビジュアル面のカスタマイズツールは大昔からほとんど進化していません。

  • すべてのコーポレーションとアライアンスが自己主張できるよう、新しいロゴパーツ、メダルデザイン、カラー、そしてアイデンティティを表現する手段が必要です。


クリエイティブなコミュニティからの貢献について

EVEで重要なのは宇宙船だけではありません。人々が発揮する才能も同じくらい重要です。

私はポスター、3Dモデル、バックストーリーに関するアート、ファッション、音楽など、様々な作品を制作する才能豊かなプレイヤーを見てきました。彼らの多くが、自らの作品を通じて公式にEVEに貢献したいと考えています。そこで次のようなことを行ってみてはどうでしょうか。

  • 宇宙船、スキン、アパレル、ステーションの演出、ロゴのデザインコンテストを定期的に開催する。

  • コンテストではプレイヤーが投票して優秀作品を決め、特に優れた作品はゲーム内に実装する。

  • アーティストたちにゲーム内に作品を残す機会を設け、コミュニティが彼らの作品を高く評価していることを意識してもらう。


交易・経済ツールについて

私はマーケットを楽しむためにEVEをプレイしてきました。EVEのそれは本物の経済のように感じられたからです。ただ、今日では次のような問題も感じています。

  • 注文を追跡するための重要なデータが不足しており、マーケットの透明性が欠けています。

    • この注文はいつ、誰が作成したのか? 注文内容は変更されたのか、それとも新しい注文に置き換えられたのか?

    • こうした情報が不足しているせいで、財務モデリングとリスク分析が制限されています。

  • もっと本格的なウォレット・マーケット管理ツールがゲーム内に必要です。より高度なフィルター、チャート、解析機能など、ゲーム外でサードパーティツール(EVE Tycoonなど)が提供してくれている機能を求めます。

  • 現在はウォレットの入出金情報が重複していたり、UIでは明示されない支払いもあるため、アノマリー、惑星インダストリー、製造活動からどれだけの収益が上がっているのか本当に正確に算定するのは困難です。

CCPはプレイヤーにより良いデータを提供してください。そうすれば、より良い経済システムが自ずと構築されるでしょう。


リスク、バランス、そして存在感のないアクティビティについて

今日のEVEでは多くのアクティビティが衰退の憂き目を見ています。原因はアクティビティ自体が悪いからではなく、アクティビティのあいだでバランスが取れていなかったり、代わりとなるアクティビティが簡単すぎたりすることが問題なのです。

  • 例えば、ハッキングはサルベージより利益が大きく、リスクも少ないです。このような状況で積極的にサルベージを行う理由があるでしょうか?

  • R&Dエージェントよりもハッキングのほうが利益が見込めるとき、あえてR&Dエージェントを利用する意味があるでしょうか?

リスクと報酬、投資と収益性について、ゲーム全体を横断的かつ詳細に分析する必要があります。その結果にもとづいて適切にバランス調整を行えば、プレイヤーは単純な時間あたりの収益ではなく興味にもとづいてアクティビティを選べるようになり、現状あまり利用されていないメカニズムを復活させることができるでしょう。


アライアンストーナメントと戦闘ログについて

今年、私はアライアンストーナメント出場チームの予備パイロットを務める栄誉に恵まれました。分析全般に関する私の知見や、過去にWarcraft Logsを利用した経験から、次のような改善を強く提案します。

  • より詳細な戦闘ログ: チームが戦闘をより適切に分析するには、もっと詳しいログが必要です。

  • 各艦の行動、ターゲットの優先順位、失敗と成功の可視化 - 他の競技ゲームのように、プレイヤーの行動を試合後に分析できるようにしたほうがいいでしょう。

  • こうした改善はアライアンストーナメント以外の領域でも役立ちます。艦隊指揮官が艦隊戦の推移を検証したり、新規プレイヤーの訓練に活用したり、あるいは映像作品のようなリプレイを制作してコミュニティが戦いの様子を楽しむこともできるでしょう。


プレイヤーは私に何を期待できるか

私は積極的に行動する人間です。皆さんの声に耳を傾け、議論し、新しいアイデアを作り出すことが大好きです。あなたがヌルセクのアライアンスに所属していようと、ソロパイロットだろうと、ワームホールに住んでいようと、トレーダーだろうと、タイタンで採掘する変人であろうと…関係ありません。私たちはみんなEVEのエコシステムの一部であり、このシステムは協力しあうことで初めて機能するのです。

私は今年初めてCSM選挙に立候補しますが、自分のアイデアを共有するだけでなく、皆さんのアイデアも聞かせていただきたいと思っています。

もし私が当選しなかったとしても、他の誰かが私の提案を取り入れて実現してくれたら嬉しいです。重要なのはゲームを改善することであり、誰の功績になるかではありません。

現実世界の私は財務モデリングとリスク分析の仕事をしています。そのスキルをEVEコミュニティ全体のために役立てることができれば幸いです。

EVE Onlineが末永く続くよう、力を合わせて頑張りましょう。

(翻訳者: Walter Islands)
(査読者: 4bumar Sarain)